誰のためのダムなのか? 4 財政すでに「ダムの町」

  • 2009/10/20(火) 21:23:52




 10・20付の朝日新聞に 『財政すでに「ダムの町」「ないと生きられない」』 と題して、八ッ場ダムについて書かれていた。

 
 
 『八ッ場ダムでは4600億円の総事業費とは別に、水没地域の生活再建を図るため、「水源地域対策特別措置法」(水特法)に基づく整備事業がある。

ダムの地元に下流自治体の金が入る水特法の仕組みは、各地でダム予定地の反対運動に手を焼いた国が「アメ」として利用してきたともいわれる。

八ッ場では栃木を除く5都県が事業費997億円を負担する。

 長野原町の普通会計の歳入総額は90年代半ばまで50億円を下回っていた。

ところが、水特法の事業費の一部が95年度から町に入り、ここ数年は地方交付税を上回る歳入の柱に。

歳入総額は03年度の約85億円をピークに6年連続で70億円台に乗った。

歳出額のおおむね3割が土木・建設事業に使われてきた。

 財政担当者は「自由に使える金が増えたわけじゃない。担当していても把握できないくらい複雑な仕組みだ」とため息をつく。

 町の財政を研究した東京のNPO法人「多摩住民自治研究所」理事長の大和田一紘さんは、「町はダムなしに生きられない財政構造にされてしまっている」と指摘する。

ダムが中止になれば、下流の都県が金を負担する理由はなくなる。

特に町が懸念しているのが公共下水道の整備だ。

 「水源の町」になることを前提に、高度処理の下水道や農業集落排水の管路を計10・8キロ張り巡らす工事が続く。

投じられる約102億円の多くは水特法の事業費だが、完成したのは半分程度。

今のままダム中止だと、残りの工事費は地元負担だ。

ある町職員は「ダムがなきゃ、こんな山の中で下水道なんて。合併浄化槽で十分だった」。

 町道や公園などの建設も同事業費に頼ってきた。

町の担当者は「町が自前でやるなら1、2年で破綻だ」。

 19日の6都県知事との意見交換会で、住民の一人は言った。

「ダム中止で水がためらないと(下流都県がお金を出してくれなくなるのではと、とても不安だ」

 ダム中止で町が手にできなくなるかもしれない金は、ほかにもある。

観光振興などには、各都県から総額178億〜248億円の「水害地域対策基金」も受け取れるはずだった。

ダムが完成すれば、水を使う都県が固定資産税代わりに「国有資産等所在市町村交付金」を町に納めるはずだった。

年10億円程度と見込まれる。

 「中止とされたら町の財政は駄目になる。夕張になる」。

水没地区に住む70代の男性は、北海道夕張市を引き合いにダム中止後への不安を訴えた。』




 また、日経時評コラム 財部誠一の「ビジネス立体思考」では、『八ツ場ダムとJAL「 政官業癒着」の構造は同じだ』(2009年9月25日)と題してこの八ッ場ダム問題について書かれている。
 

 『連日、就任早々の前原国交相を悩ませる「八ツ場」と「JAL」。

一見するとなんの脈絡もないバラバラの政策課題に見えるが、実はこれらの問題はまるで同根に思える。

政官業の強欲な癒着構造。
 
 これこそが八ツ場の悲劇やJALの自力再生を阻んできた元凶である。

治水、利水が本来ダム建設の大義名分。

だが、政官業の癒着構造が維持してきたのはダム建設によってもたらされる巨大利権だ。

族議員と官僚とゼネコンを中心とした既得権者の利益が最優先され、本当に必要なのかという議論がないがしろにされたまま、札束で地元対策が行われてきたのが八ツ場ダムの歴史だろう。

 国の支援をいくら受けても自力再生できぬJALの甘えた経営は、形を変えた八ツ場ダムである。

JALという官営航空会社は株式を公開して民間企業となった後も、政府が一定の株式を保有し続け、歴代社長の多くは旧運輸官僚の天下りだ。

 航空行政は政官業癒着の構造そのものだ。

採算がとれるとはとうてい思えぬ地方空港建設は、ダム建設にも負けない蜜の味である。

空港さえできれば経済が活性化するのではないかという地元住民の勘違いも見過ごせないが、いずれにしても日本中で採算度外視の地方空港建設に歯止めがかけられなかった。

その最大の背景は政官業の強欲癒着構造に尽きる。

 民主党の目指すべき「脱官僚」とはこの癒着構造をぶち壊すことにほかならない。』

つづく
 

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