日本の図書館で義務化の検閲ソフト、中国では延期

  • 2009/07/02(木) 13:30:04

 図書館の検閲ソフトによるフィルタリングのことを書いた翌日、新聞に中国で7月1日から予定していた国内販売パソコンへの「検閲ソフト」搭載義務づけを延期するという記事が載っていた。

 
 中国国内で出荷・販売されるすべてのパソコンについて、「わいせつ情報や暴力的な情報の遮断」目的で検閲ソフトをつけることを義務化しようとしていたが、米国政府・EU(欧州連合)などが消費者の選択の自由を阻害するとして、反対していた。

 米リソッド・オーク・ソフトウエアが米国裁判所に使用の差し止めを請求する考えを表明。米HP社やデル社は、搭載を見送り、中国最大手のレノボ・グループや東芝、ソニーなど、中国・日本のメーカーは、搭載に踏み切った。
 

 中国のネット利用者はこれに反対し、中国メディアも「権力の乱用を避けるため、有害情報のろ過では強制的な手段をとらず、市民の選択権を尊重すべきだ」という論評を配信。

 結局のところ、中国政府は、7月1日から予定していた国内販売パソコンへの「検閲ソフト」搭載義務づけを延期すると発表した。

 日本では、図書館でこのソフトが使用されていることは、既に書いたが、千葉県浦安図書館では、このことについての是非が論議され、試行錯誤を重ねた結果、大人用のパソコンからフィルタリングソフトをはずし、子供用だけにした。




浦安図書館の決定経過
       http://www.dvd.ne.jp/d-sigoto/d-01/05-2/d-01-05-2.html


 フィルタリング・ソフトの導入については、インターネット導入が進む市立小・中学校でも 導入していることから進言された。

 図書館では、それにもとづいて検討がなされ、 不特定多数が使う公共の場の端末であるということを考えるとフィルタリング・ソフトの導入もやむなし との最終判断となった。

 そしてさまざまなソフトを検討し、市立小・中学校でも導入しているi-フィルター (デジタル・アーツ株式会社)を導入することとした。

 i-フィルターは、ブラック・リスト を基調に世界標準レイティングRSAC(日本では電子ネットワーク協議会(現インターネット協会)もこれに もとづいたレイティング・システムを開発・提供)を拡張した独自レイティング・システムとホワイト・ リストの機能も併せ持つ、しかも純日本産のソフトである。

 しかし、端末提供に向けて機器の動作確認をしている段階から、フィルタリング・ソフトの アクセス制限によるさまざまな不都合が専門職司書の目についた。

 なんと、司書が選んで図書館のHPの リンク集に加えたページのひとつもアクセス制限の対象となっていたのである。

 また、新聞記事データベース へのアクセスが制限される日もあり、その制限は不可解なことも多かった。

 必要なページが見られない場合 には、カウンターで職員用の端末からアクセスすることにしていたものの、やはりフィルタリング・ソフト の解除をすべきではないかとの意見が専門職司書の間からあがってくるのにそう時間はかからなかった。

  以来約半年、話し合いを重ねた結果、デスクトップのうち2台からフィルタリング・ソフトを除くことに 決定し(それらの端末は児童には基本的に提供しないとしたうえで)、市の情報政策課に承認を求めた。 そして、つい先日了承を得たということである。


 フィルタリング・ソフトにまつわるこれまでの決定は、すべて浦安市立中央図書館の専門職司書の判断 によって行われてきている。基本的に利用者からの苦情などは受けていないという。


 
 以上が、浦安図書館の決定に至るまでの経緯である。

 図書館司書が利用してみてはじめてフィルタリングソフトの不都合さはわかるもので、青少年に有害だからと言って、安易な導入が国民の言論の自由や知る権利を奪うことになるようなものであれば、まず図書館司書は反対すべきである。

 それでなければ、図書館の果たすべき役割そのものが脅かされることになるからだ。

 私自身、中国には言論の自由もない国だから、このようなソフトが導入され、国民の生活や意見がのぞかれ、日本の戦時中のように検閲されるのだと思っていたが、今の日本は中国よりももっと憂慮すべき事態にあるといえる。

 なぜなら、このソフト導入について、図書館から検閲ソフトによって個人サイトはすべてフィルタリングがかけられ見られなくなったなどという報道はマスコミではされないし、この4月1日からの検閲法の義務化についても「青少年のために有害サイトを見られなくする」という目的で導入されたというだけで、導入後の現実の問題点についてはいっさい触れていない。

 中国ではこれだけ国民が是非を問うているのに、日本ではこのような検閲ソフトが導入されたことすら知らない人がほとんどである。

 図書館へ行ってみてはじめてわかることで、知らず知らずのうちに国民の知る権利も言論の自由も脅かされている。

 安易な導入と何も報道しないマスメディアの姿勢は、知らず知らずのうちに、一部の権力者によって反対意見を言えなくさせ、国民をコントロールし、ある方向へもっていこうとしているようにも思える。

 ブログだけでなく、国民の生活ものぞかれるような検閲社会は、何としても阻止せねばならない。

 発案者の公明党の意向通り(中国と同じ規制理由)になっている日本は、中国よりも言論の自由のなくされていっているのかもしれない。





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